大連

最終更新: 2005-8-30 作成: 2005-7-24

概要

広島からも直行便がある中国の大連には路面電車が走っています。

広電600/650形を思わせる3000形や，電制が使えるひょっとこ面の2000形，グリーンムーバーそっくりの「大連人」こと70%低床車DL-6WA形と，なかなか興味深い車両が走っています。

路線は202路，203路の設備更新と路線延長が完了し，軌道は併用部が溝付きレール，新設軌道は工型にスラブ軌道の個所も多数ある状況。

架線はJR和歌山線に見られるような改良型の直接ちょう架式やシンプルカテナリで張力調整装置付きと立派なものでした。

一方201路は未更新であり，新旧のシステムが楽しめます。

本稿は2005年3月に訪問した画像です

日本の統治下にあった，明治42年(1909)9月25日に大連にあった南満州鉄道の電気作業所が，大桟橋－山縣通－監部通－信濃町－常盤橋－伏見台電気遊園で開業したのが大連における電気鉄道のはじまりです。

それから2年あまりで27km強の路線網となり，中山広場を中心にロシア人街や老虎灘方面にも路線が延びていました。

戦後は，大部分の路線が失われましたが，近年202路と203路の全面改修と路線延長が行われたのは，大変興味深いところです。

車両については，開業時の車は英国製で，特等(定員16)と並等(定員32)の2部屋を持つセンターエントランスの木造ボギー車であり，当初からビューゲル集電でした。

その次に入ったのは，地元の沙河口工場製のラジアル台車付きの四輪車で，のちに奉天へ転出しています。

大正10年には米国から鋼製ボギー車，いわゆる「ダブルトラックバーニー」を購入し，大正14年に満鉄大連工場で増備しています。

翌大正11年には米国ブリル製の鋼製四輪車「セーフティーカー」を導入し大正12年に地元で増備しましたが，ワンマン対応車で出入口が1箇所のためツーメンでは使いにいので，大正13年製は前後扉に変更したものを大連機械製作所で建造しています。

昭和12年に日本車両で製作した3扉の鋼製ボギー車，これが現在も現役で残っている車両で，近年の路線改修にあわせて大変美しく整備されています。

戦時中は，京都の広軌1形や京王23形などの中古車を購入しています。

戦後は，中国製の車両がだいぶ入れ替わり入ったようですが，未調査です。

1980年代には，四角い車体更新車7000形と連接車621形が入りましたが，現在では連接車は消滅。

1990年代にはチョッパ制御の8000形，更新車の2000形が登場。

2001年7月には低床車DL-6WA形，2004年にはVVVF制御のレトロ車も作られました。

最新の低床車を含め，地元で製作する伝統は変わっていないようです。

202路とトロリーバスの路線の誤記を訂正しました。