H型

Last-Modified: 2004-11-30 Since: 2004-7-12

H型(1030型)

経緯

昭和5年12月11日認可で製作された初の間接制御装置をもつ半鋼製ボギー車。昭和5年12月24日に藤永田造船所で3両(モハ16〜18号)が竣工。昭和6年2月1日に新宮島〜電車宮島間が開通し，3月16日に残り2両(モハ19,20号)が川崎車輌で製作され竣工しました。免許を取得した終点である電車宮島までの開通が遅れたのは，かなりの区間が埋め立てによったこと，これに伴う漁業補償に時間がかかったためと考えられます。

車体関係

外観：正面は3枚窓で運転台は中央にあり，前照灯も腰板中央に設置。 側面の扉と窓配置は1D10D1で，屋根はシングルルーフでした。車端には柴田式自動連結器を設けています。全長は12,650mmとメートル法採用により切のいい数字となりました。自重は20.8tでした。

一般：半鋼製で藤永田造船所製と川崎車輌製があり細部は異なっていました。

窓・戸：扉は片側2枚で両端にあります。側窓は下降式で窓枠内側上部のRはなくなりました。

車内設備：座席定員は32名，定員72名。網棚も設置されています。

機器関係

主電動機・駆動装置：東洋電機製造製の567-Cで63kw×2台。駆動装置は釣掛式で歯車比は70:19となっています。

制御装置：総括式間接制御の東洋電機製造製のES-157

ブレーキ装置：手用のほか，空気ブレーキは連結運転に適した非常弁つきのSMEとなっています。

集電装置：トロリーポール式で前後に1台ずつついていました。

台車：川崎車輌製のMCBタイプの台車でした。川崎車輌製で同型のものはなく，藤永田製の台車に近い設計となっています。

変更点

昭和10年11月18日認可で暖房装置を新設しています。

昭和13年11月11日の千田車庫火災ではモハ20号が焼損しました。復旧の際，台枠にトラスを施設し，木製屋根を鋼製屋根に変更したので特徴のある外観となりました。また制動器を非常弁なしに，制御器を直接式に変更しています。昭和14年10月6日に変更認可をうけ，11月4日に竣工しました。

昭和14月8月18日にモハ1030〜1034号に改番しました。

昭和14年10月25日に己斐−千田町間の直通認可をとりました。

昭和16年8月13日認可でトロリーポールをパンダグラフに変更。

昭和19年7月21日から単線化されていた，電車廿日市〜電車宮島間は昭和25年7月24日に複線に復旧したが，これに合わせるように自社で車体延長工事を行った。全長は14,980mmとなり自重は21.5t，定員92名座席50名となった。正面窓左右の上側には通風孔がつき，側窓は2段で下部上昇，配置は1D10D1，室内灯は管球になるなど，当時製作中だった市内電車800型に近いものになりました。また自動扉を装備しましたが，車掌台の空気弁を直接操作するものであったため，運転台側がワンテンポ遅れて動くのがいかにものんびりしていました。1035号はこのとき制御器を総括間接式に復旧したようで，形式はES-531Aとなり，制動装置もSMEに戻りました。

昭和47年座席定員に変更し50名を34名に削減。扉から1630mmは立席となりました。

永久連結化工事も検討していましたが，1080型の登場で1031,1034号が休車。直通電車の拡大により昭和60年までに全車廃車となりました。

車歴表