600型

Last-Modified: 2005-5-20 Since: 2004-11-7

600型

経緯

昭和17年10月21日認可を受け，3両(601〜603号)の半鋼製ボギー車が昭和17年12月3日に竣工しました。

車体関係

外観：正面3枚窓，側面窓配置D4D4Dで窓や扉上部にRがあり，張り上げ屋根に埋め込み形の前照灯など450型のイメージを受け継ぐデザインです。しかし車端から前部扉までが160mmとほとんど平面で，また台車の関係で高床車のため窓下面まで1,876mmもあるため間延びした顔になってしまいました。ベンチレータは回転式のものが車体中心線上に6箇所。 全長は12,350mm車体幅2,400mm自重17.7tです。

一般：台枠は鋼製で台車部が高く扉付近は50mm低くなっておりスロープで結ばれています。台車上の床面高さは956mmで，元京王の500型より低くく，更新後の700型よりは高くなっています。製造は加藤製作所です。

窓・戸：正面は両側の窓の上部に小さな固定窓があり，両側下部と中央は下降窓でした。側面は2段窓で900mm×1,075mmの大きな窓でした。保護棒は1本です。扉は2枚引戸で，両端の扉は車体中央側へ，中央扉は前方へ引き込むようになっています。 またドアエンジンはなく手動です。

車内設備：座席は扉間に7名分で4箇所となり座席定員28名。定員は80名でした。ステップは床面が高いので2段となっています。室内灯は6箇所でグローブつきで，16×30Wを内蔵ですが，灯火管制時は5×10Wとなります。

機器関係

主電動機・駆動装置：SS-50で38kW×2台。駆動装置は釣掛式で歯車比は85:15となっています。

制御装置：直接式で電気制動付き。

ブレーキ装置：手用と空気，電気です。

集電装置：トロリーポール式で車体の前後に1個ずつついていました。

台車：ブリルタイプの台車で輪距は1,900mmと市内線では最大。車輪径は840mm。他の2個モータ車と異なり動軸が外側，従軸が内側となっています。

変更点

昭和19年8月17日には宮島線での使用申請が出ています。当時の1日の乗降客が昭和8年で7,936人に対し，昭和17年で18,857人となっていましたが，資材の配給が無く乗客増に対応できない状況だったようです。車輪形状が異なりましたが例外扱いで申請しました。当局からは，ステップがホームより低くならないよう改造のことという条件がでました。当時の宮島線のホーム高さは699mmでした。実際改造して使用したという記録は見つかっていません。

昭和27年5月23日認可で，手用制動器を撤去しました。10月ごろ竣工したようです。単車のエアブレーキ化で他車から手用がなくなったので，あわせて省略したようです。

昭和28年12月22日認可で主電動機をTDK-20-Bに変更しました。これは650型を低床改造した際に発生した余剰品でした。

昭和30年6月4日認可で，車体中央部に1個あったブレーキシリンダを，各台車に1個ずつ配置する，トラックブレーキ化の改造を実施しています。

昭和31年1月30日認可で主電動機をSE-133に変更しました。

昭和31年12月22日認可でビューゲルの取り付け位置を台車直上から，車体中央へ移設しました。

また同時期に中央扉の2枚引戸を1枚に改造しました。

昭和42年3月9日認可で，後部扉を閉鎖し，前部および中央扉に戸閉装置TD-3Hを取り付けました。

昭和43年6月19日認可では低床化改造を行いました。台車は大阪市から購入したブリル77Eで，主電動機はSS-60と，昭和40年に大阪市から購入した750型の台車と同一仕様のものです。この改造により26mm床が低くなりました。

昭和47年，神戸市から購入した570型のトラックブレーキ化と出力増強のため，台車を譲り廃車となりました。

車歴表